スポンサーサイト
花埋み 渡辺淳一 感想
![]() | 花埋み (新潮文庫) (1975/05) 渡辺 淳一 商品詳細を見る |
wikipediaによると本著は1970年の発表だそうなので約40年前の作品になります。それなのに古さを感じさせない作品なのはこれが元々歴史上の出来事を元に書かれた物だからということもあるのでしょうが、文章の巧さと医師であった渡辺淳一氏が書いた、ということが大きな要因なのでしょう。学問好きの娘は家門の恥という風潮の根強かった明治初期、遠くけわしい医学の道を志す一人の女性がいた――日本最初の女医、荻野吟子。夫からうつされた業病を異性に診察される屈辱に耐えかねた彼女は、同じ苦しみにあえぐ女性を救うべく、さまざまな偏見と障害を乗りこえて医師の資格を得、社会運動にも参画した。血と汗にまみれ、必死に生きるその波瀾の生涯を克明に追う長編。(本書より)
何故今40年前の小説の感想?というところなのですが実はこの作品に行き当たった経緯がとても運命的でしたので(笑)読了したあかつきにちょっとまとめてみたいと思いました。
元々この作品の存在はある参考文献として載っていたのをたまたま覚えていたのですが、図書館の除籍処分本を無料配布するという機会にこれもたまたま行き会い、散策していたら偶然見つけた、という感じでして、貰って帰って来ました。(ちなみに貰ってきたのはAmazonの画像のやつとは違うやつです。新潮文庫ですが表紙が菜の花畑。)丁度課題の参考としてこの小説は使えたので。読んでる最中もこの花埋みを紹介される機会があり、何だか縁があるなー、と思っていた次第です。
まあ、そんな縁を感じずにはいられない本作品なのですが話は大きく4つほどに分割されるかと思います。
結婚するが夫から淋病をうつされ実家に戻る→医者を目指すが沢山の障害にぶつかる→医師となり、社会運動も参加→志方と結婚、北海道へ…
物語としての盛り上がりは医師免許取得までが最高潮でしょうか。その苦悩と、それでも突き進んでいく様は読んでいてとても引き込まれました。その後志方が出てきてからの彼女に対する「もったいなさ」は作中の彼女の周りの人々に共感できるものでした。志方氏は夢追い人過ぎるんですよ。なぜこの男に彼女はひかっかってしまったのか…。それでも志方氏のキャラクターはそこまでいやみに描かれていないと感じたのですがどうなんでしょう。こういう人間はもっと苛々させられると思うのですがそれがなかったです。
自分が持っているものは吉村昭という方が解説を書いているのですが、それを読みながらこの小説は結構俯瞰的に書かれていたと感じました。というよりもとても冷静な目で書かれているな、と。
ちょっと話がずれますが、これは伝記的小説という位置付けだそうですがそういうのっていまいちどういうスタンスで読めば良いのか分からないところがあります。実在した人物を基に創作する、その創作物は作者の思想とかが確実に混ざっていて、基にされた人物に対してもった感情や感想はその作者というものを一枚通して見たものになる、だからこその気持ち悪さなんだろうと思うのです。そのときのその人物の心情なんて現代の私達にはわからない筈なのに書かれているから。
この作品は解説者によるとかなり作者自身の感情移入は避けられているそうで、かなり淡々と、事実史実を引用する部分も多いです。
だからといって自分がこの作品にそういう気持ち悪さというか拒絶感が全くなかったわけではないのですけれど、それを差し置いても本作はとても魅力的な内容でした。
話の起伏が沢山あって、退屈することがありません。北海道に行ってから荻野吟子の死まではかなりダウナーな感じではありますけれど。
囮物語 西尾維新 感想
![]() | 囮物語 (講談社BOX) (2011/06/29) 西尾 維新 商品詳細を見る |
100パーセント首尾よく書かれた小説です。――西尾維新
“――嘘つき。神様の癖に”
かつて蛇に巻き憑かれた少女・千石撫子(せんごくなでこ)。阿良々木暦(あららぎこよみ)に想いを寄せつづける彼女の前に現れた、真っ白な“使者”の正体とは……?
<物語>は最終章へと、うねり、絡まり、進化する――
これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!
かみついて、君を感じる罠の中。
(講談社の内容紹介より)
西尾維新の〈物語シリーズ〉通算十冊目となる本作は千石撫子が主人公。
彼女はアニメ化の恩恵を最も受けたキャラクターだと個人的には思います。小説版の化物語の段階ではなんとも影の薄い娘だという印象でしたので…。
ヴィジュアル化の破壊力はすさまじい、確かに小説に書かれているのに同じ事の描写でこんなにも印象が変わるものなのかと驚いた記憶があります。声も花澤さんだしね!いやはやこんなに「可愛らしい」娘が〈物語シリーズ〉に居たんだなあと逆発見したほどです。(その現象はガハラさんにも起きたんですがね。千和さん最強。)
まあ、それはともかく。
アニメ化で一気に人気が出たらしい撫子さんなのですが、囮物語では西尾維新がまたやらかしてくれました。
本作では翼、駿河に続いて撫子の一人称で進んでいきます。
撫子のキャラクターを掘り下げる話となっていますが…この娘はこういう娘だったのか?と、若干戸惑ったり。特に違和感だったのは阿良々木さんへの感情が恋愛の「しんどさ」を回避するためのものだったということ。勿論それは一側面ではあるのでしょうが。あれだけ既成事実を作ろうとしていたというのに…。
なんだか西尾維新の書くキャラクター性というのはどうも後付臭が強いというか、そういうことではあったんだろうけど……、というものが多い感じがしています。そしてそれは今作で強く出ているな、と。
しかし撫子が超絶妄想娘という設定も初見な気もしますけど、ミスリードはさすが。
人気キャラを容赦なく落とすのは西尾維新の得意技というか。別に死んだわけでもないし、12ヶ月かけたヒロインを殺したことを考えればまだまだぬるいとは思うのですが。
怪異に成ってしまって、キャラクターとしては寧ろ魅力的になったように思います。阿良々木さんを見下す冷血さは好き。
まあ、それを上回ったのはひたぎの格好良さ。彼女が全部持っていってしまった。
月火のキャラはよく立ってきた。
逆に忍は撫子が札を飲み込む直接の原因になってしまったわけで(それ以前にも精神的な攻撃はしてるけど)また失態なんじゃないかと思います。
最後に扇についてなのですが、恐らくはセカンドシーズンの黒幕的な立場なのかと。花物語で男になっていたことの説明は花の世界自体が違うのかとも思ったのですが、扇自体が世界を移動できる人間だと考える方が自然なのか。それとも、扇は男女一対なのか。
真宵に扇はそういえば会っていないし会えていないのはどんな意味があるのだろう。
傾→阿良々木の後輩。女。
花→駿河に悪魔様を教える。男。
囮→撫子に御神体の札を教え、蛇神の復活を示唆する。女。
次巻では予告どおり猫物語と傾物語の事件が書かれるだろうか。いままで予告どおりにほぼなっていないし。
| ホーム |


